実家じまいの進め方
親が元気なうちに始める実家じまい|生前整理の進め方と、新潟で使える窓口
親が元気なうちに始める実家じまいの進め方。本人の意思を軸にした話し方、持ち物の仕分け、書類・連絡先の整理、住まいのエンディングノート、長岡市・新潟市の相談窓口を公式情報で整理します。
更新日: 2026-10-02
親が元気なうちの実家じまいは、片付けより先に、親がどうしたいかを聞くことから始めます。次に、書類と連絡先を一覧にし、持ち物を4つに分け、住まいのエンディングノートに書き出します。親の了解なしに処分しないでください。
5つのステップ(早見表)
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 親の意思を聞く | 住まい・持ち物・万一のときの3つを聞く |
| 2 | 書類と連絡先を一覧にする | 暗証番号は書かず、保管場所だけ残す |
| 3 | 持ち物を4つに仕分ける | 写真や手紙は最後に、親と一緒に |
| 4 | 住まいのエンディングノートを書く | 親が自分で、書ける所から書く |
| 5 | 住まいの将来を家族で考える | 売る・貸す・壊す・住み続けるを比べる |
この記事で分かること
- 親が元気なうちに始める、実家じまいの進め方
- 持ち物の仕分け基準と、書類・連絡先の整理の仕方
- 新潟県・長岡市が案内している「住まいのエンディングノート」
- 長岡市・新潟市の、見守りと相談の窓口
実家じまいは、親が亡くなってから始めると、急ぐ作業になります。親が元気なうちなら、親の意思を聞きながら、時間をかけて進められます。
結論から言います。先に決めるのは「何を捨てるか」ではなく、「親がどうしたいか」です。 片付けは、そのあとです。
この記事の進め方の部分は、一般的な考え方です。制度や数字は、公的機関のページにあるものだけを使っています。税や法律の個別判断は、専門家に相談してください。
生前整理と、亡くなったあとの実家じまいの違い
一般的な違いは、次のとおりです。
| 親が元気なうち | 親が亡くなったあと | |
|---|---|---|
| 決める人 | 親本人 | 相続人の全員 |
| 家の物 | 親のもの | 相続の対象 |
| 進め方 | 親の意思を聞きながら、時間をかける | 相続の手続きと並行して進める |
なぜ「元気なうち」なのか
親が亡くなったあとは、手続きに期限や条件が出てきます。公的機関のページにある例です。
- 相続登記は、2024年4月1日から義務化されました。不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に、申請します(法務省)。
- 遺言書は、封印されているものを、勝手に開けられません。家庭裁判所で、相続人などの立会いのもとで開封する手続き(検認)があります(裁判所)。
- 相続人が複数の場合、遺産の分け方は全員の話し合いで決めます。まとまらないときは、家庭裁判所の調停があります(裁判所)。
親が元気なうちにだけできることもあります。
- 任意後見制度は、本人が判断能力のある段階で、公証人の面前で契約を結ぶ制度です(法務省)。
- 自筆証書遺言書保管制度は、自筆の遺言書を法務局が保管します。この制度を使うと、家庭裁判所の検認が不要になります(法務省)。
どちらも本人の意思が前提です。使うかどうかは、親自身が決めます。司法書士や公証役場、法務局に、相談できます。
1. 親の意思を聞く
最初の話し合いが、いちばん難しい部分です。ポイントは、次のとおりです。
「片付けて」と言わない。 「家をどうしたいか」「困ったときはどうしたいか」と、親の考えを聞きます。親にとって、家は思い出の場所です。片付けを迫られると、拒みたくなります。
聞く内容を、3つに分ける。
- 住まい:この先も住み続けたいか。子の近くや施設に移る可能性は
- 持ち物:残したい物、誰かに譲りたい物は
- 万一のとき:病気や介護が必要になったら、どうしたいか
一度で決めない。 帰省のたびに、1つだけ聞きます。答えが変わっても、構いません。
きょうだいにも共有する。 親の意向を、全員が同じように知っておくと、あとで揉めにくくなります。
親の了解なしに、処分しない。 元気なうちは、家の物は親のものです。
2. 書類と連絡先を見える化する
次に、親の持っている書類と連絡先を、一覧にします。亡くなったあとに「どこにあるか分からない」となると、探すのに時間がかかります。
一覧に入れる項目の例です。
| 分類 | 項目の例 |
|---|---|
| お金 | 預貯金の口座、保険、借入、ローン |
| 年金・医療 | 年金の種類、健康保険、介護保険、かかりつけ医、服用中の薬 |
| 不動産 | 登記の名義、固定資産税の納税通知書、土地・建物の権利に関する書類 |
| 契約 | 電気・ガス・水道、携帯電話、インターネット、新聞、サブスク |
| 連絡先 | 親戚、友人、近所の人、菩提寺、緊急の連絡先 |
| 遺言・意向 | 遺言書の有無と保管場所、希望する葬儀や供養 |
暗証番号やパスワードは、書き込まず、保管場所だけにするのが安全です。
不動産は、名義を確認します。 登記の名義が、すでに亡くなった祖父母のままの場合があります。法務省のページによると、2024年4月1日より前に相続した不動産も、2027年3月31日までに登記が必要です。名義の整理は、司法書士に相談できます。
年金を受けている人が亡くなったときは、届出が必要です。日本年金機構のページによると、提出が遅れると、受け取りすぎた年金を後から返す場合があります。必要な手続きを、一覧に書いておくと、残された家族が動きやすくなります。
3. 持ち物を仕分ける
仕分けは、次の4つに分けます。
| 分類 | 内容 | 進め方 |
|---|---|---|
| 残す | 親が今も使う物、大切な物 | 親が決める |
| 譲る・売る | 家族や知人に譲る物、売れる物 | 家族に希望を聞く |
| 手放す | 使っていない物、壊れた物 | 親の了解を取ってから出す |
| まだ決めない | 迷う物 | 箱にまとめ、期限を決めて見直す |
順番が大事です。
- 明らかなごみから(古い食品、壊れた物)
- 使わない家具・家電
- 衣類、食器、本
- 写真、手紙、思い出の品(最後に、親と一緒に)
写真や手紙は、急がない。 手が止まりやすい分類です。親の気持ちを優先して、最後に回します。
出し方は、市の制度を使います。 新潟市の粗大ごみは、品目ごとに100円〜500円です。長岡市は、200円〜1,000円です。料金は、各市の記事にまとめています。
「無料回収」の業者には注意が必要です。家庭のごみの収集運搬には、市町村の許可が必要です。環境省は、許可のない回収業者を使わないよう呼びかけています。業者に頼む場合の分かれ目は、自分で出す?業者に頼む?新潟の実家片付け、分かれ目の5つの基準 をご覧ください。
家電リサイクル法の対象の4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機・衣類乾燥機)は、市の粗大ごみでは出せません。新潟市のページによると、販売店の引き取りか、指定の引き取り場所への持ち込みになります。
4. 住まいのエンディングノートを書く
エンディングノートは、自分の考えを、家族に伝えるためのノートです。
住まいについては、公的機関が作ったノートがあります。
| 提供元 | 内容 |
|---|---|
| 新潟県 | 「住まいのエンディングノート」。全国空き家対策推進協議会が作成。県のホームページからPDFをダウンロードできる(2024年10月8日更新) |
| 長岡市 | 市が作成した簡易版のPDF。より詳しく書ける国土交通省版も案内している |
| 新潟市 | 「住まいのエンディングノート」を作成し、各区役所や公民館などで配布していると案内。市のサイトには令和8年度版(全15ページ、2026年4月1日更新)のPDFがある。 |
目的は、住まいの将来を早いうちに整理して、家族に伝えることです。長岡市は、放置空き家の発生を防ぐために、建物や土地の所有状況、将来の活用方法などを書いてもらう、と説明しています。
新潟県のノートの内容は、次の2つです。
- 所有者や家族の状況と、不動産情報の整理
- 住まいの将来の選択肢(売る・貸す・所有する)と、相続の手続き
書き方のコツです(一般論)。
- 書ける所から書く。 最初から、全部を埋めない。
- 親が自分で書く。 子が代筆すると、親の意思でなくなる。
- 家族みんなで見る。 書いたことを、きょうだいにも伝える。
- 暗証番号は書かない。
エンディングノートは、遺言とは別のものです。 財産の分け方を確実にしたい場合は、遺言の制度を使います。司法書士や公証役場、法務局に相談できます。
5. 住まいの将来を決める
親の意思を聞いたら、実家の将来を、家族で考えます。
| 選択肢 | 向く場合 | 読む記事 |
|---|---|---|
| 住み続ける | 親が住み続けたい。当面は住める | 冬の雪対策や見守りの準備を進める |
| 売る・貸す | 将来、誰も住まない | 新潟の実家が空き家になったら |
| 空き家バンクに登録 | 売る・貸すを考えている | 長岡市の空き家バンク |
| 壊す | 老朽化が進んでいる | 市町村の補助金一覧を確認(着工前の申請) |
新潟では、冬の雪も計画に入れます。親が高齢になると、屋根の雪下ろしは大きな危険になります。新潟県のページによると、令和6年度の除雪作業による人的被害は137件でした。死亡事故の多くは、一人作業中に起きています。詳しくは、冬の実家じまいと雪対策 をご覧ください。
新潟で使える窓口
高齢者の総合相談:地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の相談を受ける、公的な窓口です。
| 長岡市 | 新潟市 | |
|---|---|---|
| 設置 | 市内11か所 | 各区に設置 |
| 内容 | 高齢者全般、消費者被害、虐待、介護保険、介護予防、認知症の相談。専門職が常駐 | 「介護予防や権利擁護など総合的な相談窓口」 |
| 費用 | 公式ページに記載なし | 公式ページに記載なし |
| 開所 | 一覧表で確認 | 平日8時30分〜17時30分。ふなえのページには、土曜開所を2026年7月1日以降に廃止予定との記載あり |
実家の住所を担当するセンターは、市のページの一覧で調べられます。離れて暮らす家族からの相談の可否は、※確認中: 各センターの案内で確認。
見守り・緊急通報
| 長岡市「安心連絡システム」 | 新潟市「あんしん連絡システム」 | |
|---|---|---|
| 対象 | 65歳以上のひとり暮らしの高齢者等 | 65歳以上で日常生活上の注意を要する人で、要介護状態や、医師の治療が必要な慢性疾患がある人など。世帯の条件あり |
| 内容 | 24時間の緊急通報と見守り | 24時間受信センターへの通報装置の貸与、安否センサーでの確認、月1回の電話確認、健康相談 |
| 費用(月額) | 非課税世帯500円、課税世帯1,500円、生活保護は無料 | 生活保護世帯・全員非課税は0円、均等割のみ課税550円、所得割課税1,100円 |
| 窓口 | 長寿はつらつ課(0258-39-2268)または各支所 | 区役所の健康福祉課 高齢介護担当、地域保健福祉センター、地域包括支援センター |
空き家・住まいの相談
- 長岡市:都市政策課 住宅政策班(0258-39-2265)。各支所でも相談できます。
- 新潟市:建築部 住環境政策課 空き家対策・活用推進室(025-226-2813)。
法律・お金の相談
- 法テラス:経済的にお困りの方を対象に、無料の法律相談を行っています。条件と審査があり、予約が必要です。相続や成年後見も、対象の分野です。
- 消費者ホットライン188:悪質な業者や契約のトラブルの相談先です。
親が話を聞いてくれないとき
- 期限を切らない。 「今年中に」と迫らない。
- 目的を変える。 「片付け」でなく、「冬の安全」「万一のときの連絡先」を話題にする。
- 第三者を入れる。 地域包括支援センターなど、公的な窓口に一緒に相談する。
- 一部だけ進める。 書類の一覧だけでも、作る。
よくある質問
親が元気なうちに実家じまいを始める意味は何ですか?
親の意思を聞きながら、時間をかけて進められることです。亡くなったあとは、相続登記の期限や、相続人全員の話し合いなど、動かせない手続きが出てきます。
親が片付けを嫌がるときは、どうしますか?
期限を切らず、目的を変えます。「片付け」ではなく、「冬の安全」や「万一のときの連絡先」を話題にします。地域包括支援センターなど、公的な窓口へ一緒に相談する方法もあります。
住まいのエンディングノートは、どこで手に入りますか?
新潟県と長岡市は、ホームページからPDFを入手できます。新潟市は、各区役所や公民館などで配布していると案内しています。
エンディングノートがあれば、遺言は要りませんか?
別のものです。財産の分け方を確実にしたい場合は、遺言の制度を使います。司法書士や公証役場、法務局に相談できます。
遺言書を法務局に預けることはできますか?
自筆証書遺言書保管制度があります。法務局が保管し、家庭裁判所の検認が不要になります。使うかどうかは、親自身が決めます。
実家の名義が、祖父母のままだったらどうしますか?
2024年4月1日より前に相続した不動産も、2027年3月31日までに相続登記が必要です。名義の整理は、司法書士に相談できます。
遠方に住む親の見守りは、どうすればよいですか?
長岡市の「安心連絡システム」と、新潟市の「あんしん連絡システム」があります。対象や費用の条件があります。市の窓口へ確認してください。
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- 生前整理の進め方(新潟版)
出典
確認日はすべて2026-10-02です。
- 新潟県「住まいの将来や今後の相続に「住まいのエンディングノート」を活用しましょう」(2024年10月8日更新) https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/toshiseisaku/sumai-ending-note-katuyou.html
- 新潟市「空き家に関する情報提供パンフレット」(「住まいのエンディングノート」令和8年度版、2026年4月1日更新)(確認日: 2026-10-04) https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/jyutaku/akiya/jukankyoakiya_161228.html
- 長岡市「長岡市の空き家対策」 https://www.city.nagaoka.niigata.jp/kurashi/life03/akiya-taisaku.html
- 長岡市「地域包括支援センター」 https://www.city.nagaoka.niigata.jp/fukushi/cate02/houkatu_center.html
- 長岡市「高齢者の助けになるサービス」 https://www.city.nagaoka.niigata.jp/fukushi/cate02/zaitaku_survice.html
- 新潟市「地域包括支援センター ふなえ」 https://www.city.niigata.lg.jp/chuo/shisetsu/fukushi/koreisya/hunae.html
- 新潟市「あんしん連絡システム」 https://www.city.niigata.lg.jp/iryo/korei/anshinseikatsu/anshinrenraku.html
- 新潟市「空き家に関する相談窓口」 https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/jyutaku/akiya/madoguchi.html
- 新潟市「テレビ・冷蔵庫等の家電リサイクル法対象品目」 https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/gomi/gomishigen/gomidasi/syusyunasi/kaden.html
- 新潟市「粗大ごみ品目別料金一覧」 https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/gomi/gomishigen/gomidasi/niigata/ryoukinichiran.html
- 長岡市「粗大ごみ(事前申込制)戸別収集」 https://www.city.nagaoka.niigata.jp/kurashi/cate08/sodai-gomi.html
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
- 法務省「成年後見制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html
- 裁判所「遺言書の検認」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html
- 裁判所「遺産分割調停」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html
- 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
- 環境省「廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!」 https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html
- 国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(2022年11月2日発表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221102_1.html
- 法テラス「無料法律相談・弁護士等費用の立替」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/
- 新潟県「除雪作業中の事故にご注意ください」 https://www.pref.niigata.lg.jp/site/chiikiseisaku/191025zikoboushi.html