実家じまいの進め方
相続した実家を売ったときの税金|3,000万円控除と新潟の相談窓口
相続した実家を売ると、譲渡所得に税金がかかります。空き家の3,000万円特別控除の要件の概要、必要書類、市が出す確認書(新潟市・長岡市)、新潟の相談窓口を国税庁の公式ページで整理します。
更新日: 2026-10-02
結論
相続した実家を売って利益が出ると、「譲渡所得」として所得税・住民税がかかります。
ただし、一定の要件を満たす空き家には、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。国税庁は、これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼んでいます。
要件は細かく、期限もあります。この記事は、国税庁と市の公式ページに書かれていることの概要です。使えるかどうかの最終判断は、税務署か税理士に確認してください。
この記事で分かること
- 実家を売ると、どんな税金がかかるか
- 3,000万円特別控除の要件の概要
- 必要書類と、市が出す「確認書」
- 新潟市・長岡市の窓口
- 税金の相談先
早見表
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 控除額 | 最高3,000万円(相続人3人以上は2,000万円) | 国税庁 |
| 売る期間 | 平成28年4月1日〜令和9年12月31日 | 国税庁 |
| 売る期限 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで | 国税庁 |
| 売却代金 | 1億円以下 | 国税庁 |
| 対象の家屋 | 昭和56年5月31日以前の建築、区分所有でない | 国税庁 |
| 市の書類 | 被相続人居住用家屋等確認書(交付に2週間程度) | 新潟市・長岡市 |
実家を売ると、どんな税金がかかる?
土地や建物を売ったときの利益は、「譲渡所得」です。国税庁のページでは、次の式で計算します。
譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額 = 課税される所得
- 取得費:買ったときの代金や、購入手数料などです。建物は、所有期間中の減価償却費相当額を引きます。取得費が分からないときや、譲渡価額の5%より少ないときは、譲渡価額の5%を取得費にできます(概算取得費)
- 譲渡費用:仲介手数料、測量費、契約書の印紙代、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです
所有期間が、売った年の1月1日で5年を超えると「長期」です。税額は、所得に所得税15%をかけます。ほかに住民税5%がかかります。復興特別所得税も、併せて申告・納付します。相続した不動産の所有期間は、原則として、亡くなった方が取得した日から数えます。
仮の数字で考えます。
- 売った金額:2,500万円
- 取得費(不明のため概算の5%):125万円
- 譲渡費用(仲介手数料など):100万円
- 譲渡所得:2,275万円
特別控除を使えない場合は、この2,275万円が課税の対象です。3,000万円の特別控除が使える場合は、式のうえでは、課税される所得が残りません。実際の金額は、個別の事情で変わります。使えるかどうかは、税務署か税理士に確認してください。
3,000万円特別控除の概要
国税庁のページ(令和8年4月1日現在の法令等)では、次のように説明されています。
- 対象:相続または遺贈で取得した「被相続人居住用家屋」または、その敷地等を売ったとき
- 売る期間:平成28年4月1日から令和9年12月31日まで
- 控除額:最高3,000万円。ただし、令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上のときは、2,000万円まで
マイホームを売ったときの3,000万円特別控除(国税庁 No.3302)は、別の特例です。自分が住んでいた家が対象で、要件も違います。この記事の特例は、相続した空き家が対象です。
対象になる家屋
「被相続人居住用家屋」は、相続の直前に亡くなった方が住んでいた家で、次の3つにすべて当てはまるものです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された
- 区分所有建物登記がされていない(マンションなどではない)
- 相続の直前に、亡くなった方以外に住んでいた人がいない
要介護認定などを受けて老人ホーム等に入所していた場合は、別の要件を満たせば、対象になることがあります。詳しくは、国税庁のタックスアンサー No.3307に書かれています。
売る人・売り方の要件
主な要件は、次のとおりです。
- 売った人が、相続または遺贈で、その家屋と敷地を取得した相続人であること
- 相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使われていないこと
- 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売っていないこと
- 売った家屋や敷地について、取得費の特例(相続税の取得費加算)や、収用等の特別控除など、他の特例を受けていないこと
- 同じ被相続人から取得した家屋や敷地で、この特例を使っていないこと
売り方は、国税庁のページでは、次の3つに分けて書かれています。
- 家屋(耐震基準を満たすもの)を、そのまま売る、または家屋と敷地を売る
- 家屋をすべて取り壊してから、敷地を売る
- 家屋をそのまま売り、翌年2月15日までに、耐震基準を満たすか取り壊す(令和6年1月1日以後の譲渡)
どの売り方かで、要件も必要書類も変わります。
期限の数え方
「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日」は、少し分かりにくい表現です。
たとえば、2025年10月に亡くなった場合を考えます。3年を経過する日は2028年10月です。その日が属する年の12月31日は、2028年12月31日です。
ただし、特例の期間は、令和9年(2027年)12月31日までです。この場合は、2027年12月31日までに売る必要があります。長岡市のページにも「かつ、令和9年12月31日まで」と書かれています。
この例は、説明のための仮のものです。自分の場合の期限は、税務署か税理士に確認してください。
1億円の判定の注意
家屋と一体で使っていた部分を、別に分けて売る場合があります。他の相続人が売る場合もあります。国税庁のページでは、1億円の判定に、あとから売った分も含めます。対象は、売った日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの分です。分けて売ると、合計が1億円を超えて、あとで修正申告が必要になることがあります。
取得費加算との関係
相続税を払った人が使える「取得費の特例」(相続税の取得費加算)もあります。要件の一つは売る時期です。相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ります(国税庁 No.3267)。
3,000万円特別控除は、この特例を受けていないことが要件です。どちらが有利かは、事情で変わります。※確認中: 自分のケースで有利な特例 税理士に相談してください。
必要な書類
確定申告で、書類を添えて提出します。申告先は所轄の税務署です。国税庁のページでは、家屋と敷地を売る場合に、次の書類が挙げられています。
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
- 登記事項証明書など(売った人が相続で取得したこと、昭和56年5月31日以前の建築、区分所有でないこと、が分かるもの)
- 市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」
- 耐震基準適合証明書、または建設住宅性能評価書の写し(譲渡の日前2年以内に調査や評価が終わったもの)
- 売買契約書の写しなど(売却代金が1億円以下と分かるもの)
家屋を取り壊して敷地を売る場合や、売った後に耐震改修・取壊しをする場合は、書類が違います。国税庁のページで、区分ごとに確認してください。
売るためには、不動産の名義が相続人になっている必要があります。相続登記は、令和6年4月1日から、取得を知った日から3年以内の申請が義務になっています(法務省)。
市が出す「確認書」とは
「被相続人居住用家屋等確認書」は、売った家のある市区町村が出す書類です。被相続人が住んでいたことなどを、市が確認します。
新潟市
- 新潟市のページに、申請の手引きと申請書があります。売り方に合わせて、手引きは3種類(1-1、1-2、1-3)です
- 受付から交付まで2週間程度かかります。税務署への提出期限を考えて、早めの申請が勧められています
- 書類に不備があると、そろった時点で受付になります
- 市から確認書を受け取っても、特例を受けられない場合があります
- 担当:住環境政策課 空き家対策・活用推進室 電話025-226-2813
長岡市
- 申請書を必要書類とともに提出して、確認書の交付を受けます
- 交付には2週間程度かかります。手数料は不要です
- 様式は3種類(耐震基準に適合させて譲渡、取り壊して土地を譲渡、そのまま譲渡して後で耐震改修または取壊し)です
- 担当:都市整備部 都市政策課 住宅政策担当 電話0258-39-2265(大手通庁舎)
どの様式を使うかは、売り方で決まります。売買契約を結ぶ前に、市に聞いておくと安心です。確認書の発行手続きの細かい点は、各市のページと手引きで確認してください。
新潟で相談できる窓口
税金(適用できるか)
- 税務署:国税庁のページに、新潟県内の税務署が載っています。電話は自動音声の案内です。例は次のとおりです。
- 新潟税務署:025-229-2151(新潟市の北区・東区・中央区・江南区・南区・西区)
- 新津税務署:0250-22-2151(新潟市の秋葉区)
- 巻税務署:0256-72-2355(新潟市の西蒲区)
- 長岡税務署:0258-35-2070(長岡市の一部) どの税務署が担当かは、国税庁のページの「管轄地域」で確認してください
- 国税の電話相談:国税庁の税務署一覧のページに、電話相談の番号が載っています。0570-00-5901(ナビダイヤル)です
- 税理士会の無料相談:関東信越税理士会 新潟県支部連合会が、予約制の無料相談を開いています。2026年10月2日時点のページでは、次のとおりです。
- 新潟支部:4月〜12月の第1水曜(025-225-2203)
- 長岡支部:毎月第1・第3水曜の午前(0258-33-8080) 日程は変わるため、電話で確認してください
売却・登記・相続の手続き(新潟市の相談窓口一覧)
新潟市の「空き家に関する相談窓口一覧」に、次の団体が載っています。
- 不動産の売買:新潟県宅地建物取引業協会(025-247-1177)
- 不動産の売買:全日本不動産協会新潟県本部(025-385-7719)
- 登記、境界の測量:新潟県土地家屋調査士会(025-378-5005)
- 登記、相続など:新潟県司法書士会
- 相続など権利義務関係の書類作成:新潟県行政書士会
窓口によって、予約が必要です。受付日時は、新潟市のページで確認してください。
長岡市の空き家の相談は、都市政策課の住宅政策担当(0258-39-2265)です。各支所でも相談できます。
税金の個別の判断は、窓口の種類を問わず、税務署か税理士が行います。
よくある疑問
空き家の3,000万円控除は、誰でも使えますか。 いいえ。家屋の建築時期、売る期限、売却代金などの要件があります。使えるかどうかは、税務署か税理士に確認してください。
いつまでに売れば間に合いますか。 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。ただし、特例の期間は令和9年12月31日までです。
相続人が3人いたら、控除はどうなりますか。 令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上のときは、控除は2,000万円までです(国税庁)。
家を壊してから売ってもよいですか。 国税庁のページでは、家屋をすべて取り壊してから敷地を売る方法も挙げられています。要件や書類が変わるため、売る前に市の窓口で確認してください。
「確認書」はどこでもらいますか。 売った家のある市区町村です。新潟市は住環境政策課、長岡市は都市政策課が窓口です。交付に2週間程度かかります。
売らずに持ち続けた場合は、使えませんか。 この特例は、売ったときの特例です。持ち続ける間の税金は、空き家の固定資産税は本当に6倍になる?で説明しています。
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出典
確認日はすべて2026年10月2日です。
- 国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3302「マイホームを売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3307「被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3307.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
- 国税庁「税務署所在地・案内(新潟県)」 https://www.nta.go.jp/about/organization/kantoshinetsu/location/niigata.htm
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html
- 新潟市「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」(更新2026年4月15日) https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/jyutaku/akiya/yokusei/akiyatokurei3000.html
- 長岡市「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除について」(更新2024年9月3日) https://www.city.nagaoka.niigata.jp/kurashi/life03/inheritance.html
- 新潟市「空き家に関する相談窓口一覧」(更新2026年8月7日) https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/jyutaku/akiya/madoguchi.html
- 関東信越税理士会 新潟県支部連合会「無料相談」 https://zeirisi-niigata.jp/consultation/
- 法務省・法務局「相続登記の申請義務化」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html